レーザー加工機“Beambox Pro”導入

購入から設置、使い方のコツまで

アルスのアトリエ「A・corns」でレーザー加工機(レーザーカッター)を導入しました。昨年、導入した3Dプリンターの設定や初動時には、困難を要したこともあるので、今回のレーザー加工機の設定と使い勝手などを記録にとどめ、この場でシェアしてみたいと思います。

beamboxpro

1.レーザー加工機(レーザーカッター)の機種選定から購入まで

・購入の理由

アルスのアトリエ「A・corns(エーコーンズ)」では、商品のプロトタイプや空間づくりに必要なオリジナル造形物などを制作しています。日々、造形づくりを行う中で、アトリエの工作機械では制作できないものは外注に出すこともあり、レーザーカットもその一つでした。レーザー加工機が常に活用できる状態にあることで迅速な対応が可能となり、デザイン制作のアイディアの幅も広がることも期待し購入を決めました。

・機種選び

レーザー加工機はメーカーや機種の選択肢が少ない製品です。それだけに自社の用途に合った製品を選定し、「失敗しない買い物」をする必要がありました(安いものではありませんし…)。購入にあたってはネット検索のうえ機種と性能を比較し、幾つかのメーカーさんへ実機の見学に行きました。

・Beamboxproを選んだポイント

当初は他社製品とBeambox Proよりも下位機種のBeamboxが購入検討商品でしたが、アルスのアトリエの規模は「家庭用≦工房(アトリエ)≦工場」ということもあり、検討を重ねBeambox Proを購入することにしました。長期的な利用とカットできる厚みやサイズが大きくなると制作物の幅や応えらえるニーズが各段にあがります。

Beamboxproに決めた主な理由は下記の通りです。
①カメラが付いている
②出力ソフトウェアが使いやすい
③レーザー照射口の脇からエアーが吹き出る
④切断面がきれい
⑤加工範囲が比較的広い

①カメラが付いている

加工台の上の加工物を搭載カメラが撮影し、その画像の上にオブジェクトを配置できます。これにより加工物を無駄なく使えて、廃棄物の量も減らせます。画像の撮影と読み込みに少々時間がかかりますが気になる程ではありません。

②出力ソフトウェアが使いやすい

「Beamostudio」というソフトウェアをメーカーのサイト上からダウンロードができ、購入前に仕様を確かめることもできます。また、「Beamostudio」にデータを書き出すイラストレーター用の無料のプラグインもあり、レイヤー情報を保持したままデータを移動できます。さらに、簡単なデザインであれば同ソフト上のみでデザイン制作が可能です。

③レーザーノズルの脇からエアーが吹き出る

こちらは実機を比較して感じたのですが、エアーの有無で加工物の仕上がりが綺麗になるように思います。木材であれば焦げ付きを軽減できるようです。

④切断面がきれい

切断面が比較的に滑らかでした。レーザー照射口を動かす機工の性能によるのかもしれませんが、切断面に縦に筋が入ってしまう機種もありました。

⑤加工範囲が比較的広い

最大加工範囲は375×600㎜です。ただし最大加工幅いっぱいに加工するには少々コツが必要です。加工台の下部(手前)に加工物を設置する必要があり、実際の加工物で加工する前に紙などへの彫刻で可動域を確認することをお勧めします。

2.開封と初期設定

・内容物の確認

製品は大人2人でも持てる重さですが、安全のため設置場所までは4人で運びました。開封後の設置も2人以上が必要です。早速内容物の確認です。

内容物の一部
蓋のアクリル板の取り付け
英語のマニュアル

メーカーの日本代理店はあるものの、海外製品にありがちな付属マニュアルが英語のみ…。仕方がないのでネットで検索すると代理店(当方が購入した所とは別の代理店)が日本語マニュアルを掲載していました。下位機種のマニュアルですが、内容はほぼ同じようです。こちらのマニュアルも項目と内容が合っていなかったり、同じ文節がたぶっていたりしますが、今のところ支障はありません。

■日本語マニュアルのリンクはこちら

・冷却用の精製水の注入

電源を入れるとタッチパネルに初期設定のガイダンスが表示されます。
緊張しながら初期設定をすすめますが、このタッチパネルのオペレーションがとても分かりやすいです。初期設定においてはマニュアル不要です!

精製水は薬局で売っている標準的な500mlでOK!

メーカーさんからレーザー管冷却用の精製水が必要とは聞いていたのですが、分量の記載がありません(見つけられなかった?)。

タンクの蓋(付属レンチはサイズが合わず?)
付属のロートで精製水を注入
ガラス管に水が入っていくのがわかります

ロートを使いタンクに水を入れるとブォーンという音と共に、ガラス管の中に吸い込まれていくのがわかります。どんどん吸い込まれていくので不安になってきますが、タンク内に入る水の分量はおよそ480ml~490mlでした。

・照射確認と試作

冷却水を注入すると、レーザーの照射ができるようになります。タッチパネルのガイダンスに従って、光路テスト(レーザー光が正常に照射されているかの「光路テスト」を行います。

付属のテープを照射口に貼り付け
テストをすると焼け跡が付きます
2度繰り返し次のステップへ

最後にWi-Fiの設定です。因みに有線のUSBケーブルは付属していないので、Wi-Fi環境にない場所ではケーブルを購入する必要があります。

3.不具合と解消の履歴 ~自己流トラブルシューティング~

本項目は参考程度に留めてください。トラブルなどが発生した際はサポートページ及びサポート窓口へ速やかに問い合わせることが解決の一番の近道です。この項目の記載内容により生じた事の一切の責任を負いません。

・タッチパネルのフリーズ

レーザー加工機背面の主電源を入れ、次に本体前面のサブ電源を入れるのですが、たまにフリーズすることがあります。使用開始1ヵ月程のデータですが、10回のうち1回程度。こちらはサブ電源を入れ直すことで解消します。

・彫刻ムラ

レーザー加工機納入後の試用運転中に発生した事例です。アクリル板の彫刻にムラが生じました。サポートへ問い合わせたところ、「レーザーフォーカスリングが締まって照射部チューブが安定しているかの確認」で解消する可能性があるとのことでした。

レーザーの不具合
彫刻部分の面の一部にレーザーが弱く擦れたように見える
レーザー加工機照射口
照射口のリングを時計まわりに回して緩めます
レーザーカッター照射口
照射口を外して内部のリングが緩んでいないか確認

フォーカスリングを確認したところ、特段、緩んでいるようには感じませんでしたが、一度リングを外し再度、締め直すことでこの彫刻ムラは解消しました。ただ、特別なことをした感覚がないため、確実な解消方法とは言えないかもしれません。現時点での想定ですが、照射口の高さやチューブの向きなどが関連しているのかもしれません。

・垂直カットができない

アクリル板や木の板をカットした際に加工物を横から見ると断面が斜めになり、表面の一部が削られてしまうことがありました。

レーザーカット断面
アクリルカットの試作
表面の削れ
表面の赤い部分が削られている箇所
向かって左側の表面が削れ断面が斜めになる

サポートに問合せたところ垂直方向のカットの調整は第3ミラー(照射口上部にあるミラー部)の調整とのことでした。

極力触れたくない箇所です!

ほんの0.数ミリの差でレーザ光がオブジェクトに当たらなくなったりします。また、慣れないと調整に時間を要します。

光路調整1
レーザー照射口を手前に引き寄せます
光路調整2
調整は上記の3ヵ所
光路調整3
ナットを緩めた後、ビスを左右に回して調整します

垂直方向のカットの不具合は軽減したものの完全では無いように思います。

・既存のパラメータ設定でカット及び彫刻ができない(レーザーが正常に照射されていない?)

「BeamStudio」のパラメータ設定には、各素材と厚みのカット・彫刻の基本パラメータが設定されていますが、設定どおりの素材をセットし加工しても加工ができないことがありました。例えば、アクリル板であればカットが貫通しなかったり、彫刻が薄かったりです。

こちらは全項の「垂直カットができない」の対応で軽減しました。

光路調整マニュアル
https://flux-japan.jp/pages/techinfo-manual-laserpath-adjustment-beambox

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